毎日、決まった時間に、決まったコースを走る。
ランニングが「歯磨き」のように生活の一部になり、苦もなく走り出せるようになったあなた。
それは素晴らしい成果であり、努力の結晶です。
しかし、あえて厳しいことを聞きます。
そのランニング中、あなたは「思考」していますか?
それとも、自動操縦(オートパイロット)で、ただ時間が過ぎるのを待っていますか?
こんにちは。Tomoyaです。 継続は力なり。
しかし、継続が生む「慣れ」は、時に私たちの成長を止めるブレーキになります。
忙しい日々の中で、せっかく確保した「ランニング」という貴重な時間。
それを「ただの作業」にしてしまうのは、あまりにももったいない。
今日は、慣れが生じてきたランナーが陥る「習慣化のトラップ」と、そこから抜け出し、再び成長軌道に乗るための「時間の向き合い方」についてお話しします。
1. 脳は「サボる」ために習慣化する
なぜ、毎日走っているのに、ある一定のレベルからタイムが伸びなくなるのでしょうか?
なぜ、あんなに新鮮だった景色が、何も感じない背景になってしまうのでしょうか?
それは、私たちの脳の生存戦略によるものです。
人間は新しいスキルを学ぶ時、最初は集中して急速に成長します。
しかし、ある程度「こなせる(OKな)」レベルに達すると、脳はエネルギーを節約するために「自動化」モードに切り替えます。
これ以降、「ただ繰り返すだけ」では、どれだけ時間をかけてもスキルは向上しません。
これを「OKプラトー(高原現象)」と呼びます。
「毎日走っているから大丈夫」 そう思って安心している間に、
あなたの体と脳は「いかに楽をして、エネルギーを使わずに走るか」という省エネモード(=成長停止)に最適化されてしまっている可能性があるのです。
2. 時間は「有限」。その30分をどう使う?
私たちの時間は、どうあがいても有限です。
仕事、家事、睡眠…。24時間という限られたパイの中から、
あなたは意志の力を使って「ランニングの時間」を切り出しているはずです。
その貴重な時間を、「昨日の繰り返し」で消費してしまうのか。
それとも、「未来への投資」として使うのか。
でも、毎日毎日、全力で集中して走るなんて無理だよ。
疲れて続かなくなっちゃう…
その通りです。
起きてから寝るまで、すべての行動を意識的に行うなんて、
どんな超人でも不可能です。だからこそ、『メリハリ』が必要なんです。
毎日、張り詰める必要はありません。
普段の動きから違うことをするのは、脳にとってストレス(負荷)だからです。
しかし、「このまま慣れで終わらせたくない」「次のステップに行きたい」という種火が心にあるのなら、やり方を変える必要があります。
3. 「慣れ」を壊す、意図的なアクション
では、どうすれば「OKプラトー」を打破し、時間を濃密にできるのか?
それは、自動化された動きに、あえて「異物(意識)」を混入させることです。
私は、以下のことを「ふと気がついた時」や「週に1回のポイント練習」として取り入れています。
- フォームの再確認:
あえて着地の位置や、腕振りの角度を数センチ変えてみる。
「こっちの方が楽か?」と体に問いかける。
- 呼吸の制御:
無意識の呼吸をやめ、「4歩で吸って、4歩で吐く」など、意図的にリズムをコントロールしてみる。
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いつものコースの、あの電柱から次の角までだけ、スピードを上げてみる。
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こうして「意識的に」動くと、今まで気づかなかった発見があります。
「あ、実は右足がうまく使えていなかったな」
「呼吸を深くしたら、もっと楽に走れた」
この「気づき」こそが、成長です。
ただ漫然と1時間走るより、意識を研ぎ澄ませた10分の方が、成長密度が高いことさえあります。
4. せっかく確保した時間だからこそ
ランニングができる環境、健康な体、そして確保できた時間。
これらは当たり前ではありません。
せっかく継続して体力がつき、次のステップアップへの道が開けているのに、
そこへ向かわず「慣れ」の中で停滞してしまうのは、やはりもどかしいものです。
次のランニングで、たった5分でいいので、試してみてください。
「いつものランニング」を疑い、自分の呼吸、足の裏の感覚、腕の振りに、
全神経をフォーカスしてみてください。
「時間を大事にする」とは、スケジュールを詰め込むことではありません。
その瞬間の自分に、誠実に向き合うことです。
慣れ親しんだその動きの中に、まだ見ぬ「強さ」へのヒントが隠されているはずです。
自動操縦のスイッチを切って、あなたの意志で、その一歩を踏み出しましょう。







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