【プロローグ】その言葉を語っているのは、誰ですか?
「何を言うかではなく、誰が言うかで全てが変わる」
ランニング中にふと、このありふれた、しかしあまりにも真実な言葉について、僕は考えていました。
箱根駅伝を走ったスター選手が「このサプリは本当に効きます」とSNSに投稿すれば、翌日には店頭からその商品が消える。
一方で、僕のような無名の市民ランナーが、どれだけ熱意を込めて同じことをブログに書いても、ほとんど誰の心にも響かないだろう。
この差は、一体どこから生まれるのか。
そして、僕たちはこの情報が洪水のように押し寄せる世界で、一体何を信じ、どう進むべきなのか。
これは、ランニングに限らない、僕たち全員に突きつけられた、答えのない問い。 今日は、その複雑な問題について、僕が走りながらたどり着いた、一つの考えを共有したいと思います。
第1章:なぜ僕たちは「誰が言うか」に、これほど弱いのか
まず認めなければならないのは、僕たちが権威に弱いのは、ある意味で当然だということです。
社長、専門家、成果を上げた人…。
彼らの言葉に価値を感じるのは、僕たちの脳が、複雑な情報を処理するためのエネルギーを節約しようとする、賢い(あるいは、怠惰な)仕組みを持っているからです。
一つ一つの情報の真偽を確かめるより、「あの人が言うなら、きっと正しいだろう」と判断する方が、
圧倒的に楽なのです。
多くの人が「表面しか見ていない」ように見えるのは、この「権威へのショートカット」が、生存戦略としてプログラムされているからに他なりません。
しかし、本当にそれでいいのだろうか。 そのショートカットの先に、あなたの求めるゴールは、本当にあるのだろうか。
第2章:しかし、本質はそこではない。情報の価値を決める「2つのパラメータ」
「誰が言うか」のラベリングを一度剥がして、情報そのものを裸にしてみる。 すると、その価値は、僕が思うに、たった2つのパラメータで測ることができます。
- 情報過多の中、ランニングでどの情報を信じれば良いですか?
特定の誰かの言葉を鵜呑みにするのではなく、その情報が持つ
①「確度」(発信者の実践と検証に基づいた信頼性)と、
②「汎用性」(それが自分自身にも当てはまる可能性)という2つの軸で冷静に評価することが重要です。最終的には、あなた自身の目的と体で試しながら”自分だけの答え”を見つける必要があります。
- パラメータ①「確度」
その情報が、どれだけの実践と測定、試行錯誤の末に生み出されたものか。発信者の血と汗と涙の結晶であり、その人にとっての真実度です。
- パラメータ②「汎用性」
その情報が、どれだけ多くの人に当てはまる、普遍的なものか。あるいは、その人だけの骨格や環境だからこそ成り立った、特殊なものか。
この2つのパラメータを理解すると、世界の見え方は少しだけ変わってきます。
第3章:箱根ランナーの”完璧なフォーム”が、あなたを壊すかもしれない理由
あのスター選手の美しいランニングフォーム。 彼の身体にとっては、まさしく「確度100%」の答えでしょう。
長年の努力の末に見つけ出した、彼だけの黄金律です。
しかし、そのフォームの「汎用性」はどうでしょうか。
彼の身長、体重、骨格、筋力、柔軟性…。
その全てが揃って初めて成立するその動きが、全く異なる身体を持つあなたにも当てはまる保証は、どこにもありません。
むしろ、無理に真似をすれば、怪我に繋がる危険性すらあります。
一方で、僕のような無名のランナーが発信する情報。 その「確度」は、スター選手に比べれば低いかもしれません。 しかし、もしかしたら、
あなたと僕の体格や走力が近ければ、その情報の「汎用性」は、スター選手のそれよりも、遥かに高いかもしれないのです。

【結論】羅針盤は、あなたの”外”にはない。答えは、あなたの足元にある。
僕が本当に伝えたいことは、これです。
あなたが探し求めるべき”答え”は、他の誰かの言葉の中にはありません。
それは、常にあなたの中にあります。
どんなに素晴らしい情報も、どんなに権威のある人の言葉も、あなたにとっては「参考書」の一つに過ぎない。 その中から、自分の目的(どうなりたいのか?)に照らし合わせて、どれを試してみるかを選択する。 そして、自分の体と対話しながら、
自分だけの答えを、一歩一歩、見つけていく。
僕のこのブログで書いていることでさえも、絶対に鵜呑みにしないでください。 僕にとっての「確度の高い」情報が、あなたにとってそうであるとは限らないのですから。
僕自身、今もこうして情報を探し回り、誰かの言葉に心を揺さぶられ、道に迷うことがあります。
だからこそ、この記事を書き、自分自身に強く言い聞かせているのです。
「探し回るな。自分の足元を見ろ。答えは、そこにある」と。
僕が自分自身と対話しながら見つけてきた「参考情報」は、ここにあります。あなたの”答え”を見つけるための、ヒントの一つとして、もしよければ活用してください。







コメント