【プロローグ】「ランニングは、正直言って、単調でつまらない」
もし、あなたがそう感じているなら、僕たちは良い友達になれそうだ。
同じ景色の繰り返し。ただ足を前に出すだけの、創造性のない時間。
週末のサッカーや、仲間と汗を流す野球に比べれば、その面白みは遥かに劣るかもしれない。
しかし、もし。
その、あなたが「単調だ」と感じている一歩一歩が、あなたの脳内で、未知のスポーツや新しいスキルさえも瞬時にマスターしてしまうような、驚異的な”学習能力の土台”を築き上げているとしたら…?
こんにちは。
最近読んだ一冊の本をきっかけに、ランニングの”本当の価値”に気づき、興奮が冷めやらない、一人のランナーのTomoyaです。
この記事は、「ランニングはつまらない」と感じる、かつての僕と、今のあなたに贈る、脳科学という名の冒険の書です。
第1章:ある一冊の本との出会いが、僕の”走る意味”を変えた
僕の世界観を揺るがしたその本の名前は、ジェフ・ホーキンス著『考える脳 考えるコンピュータ』。
彼は、脳の仕組みを解き明かし、それを元に真の人工知能(AI)を創り出そうとしている、現代最高の知性の一人です。
この本の中で、彼は脳の基本的な動作原理について、衝撃的なほどシンプルな答えを提示します。
「脳は、世界のモデルを常に学習し、そのモデルを使って、次に来るものを”予測”している」
僕はこの一文を読んだ時、雷に打たれたように、ランニングの風景が全く別のものに見え始めたのです。
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第2章:あなたの脳内で起きている、驚くべき「予測」のメカニズム
難しく考える必要はありません。 あなたが走っている時、あなたの脳は常にフル回転で”予測”をしています。
- 次に踏み出す一歩の、地面の硬さや角度を予測する。
- カーブの先に見える景色の変化を予測する。
- 聞こえてくる風の音や、自分の呼吸のリズムを予測する。
脳は、あなたがこれまでに経験した無数の「歩く」「走る」というデータから、
「世界の動き方」の基礎的なモデルを構築しています。
そして、そのモデルを使って、コンマ1秒先の未来を予測し続けることで、私たちはスムーズに走ることができるのです。
第3章:なぜ「単調なランニング」こそが、最強の”応用力”を鍛えるのか?
ここからが、本題です。 なぜ、変化に富んだサッカーや野球ではなく、「単調なランニング」が重要なのか。
それは、単調で反復的だからこそ、脳は揺るぎない、安定した「基礎モデル」を構築できるからです。
考えてみてください。 毎日、同じような道を、同じようなペースで走る。この行為は、脳にとって、世界の物理法則を学ぶための、最高の教科書になります。
「こういう風に体を動かせば、こういう風に世界は反応する」という、普遍的なルールを、あなたの脳と体に深く刻み込むのです。
- 単調なランニングを続ける、脳科学的なメリットは何ですか?
ジェフ・ホーキンス氏が提唱するように、脳は反復経験から世界のモデルを学習します。
単調なランニングは、体の動きや周囲の環境に関する安定した『基礎モデル』を脳内に構築します。それが、他の未知のスポーツや新しい状況に対する『予測能力』として応用され、汎用的な運動能力や学習能力の向上に繋がることが期待されます。
この”走る”という強固な基礎モデルがあるからこそ、あなたは全く経験したことのないスポーツ、
例えばスケートボードに挑戦した時、脳はこう判断するのです。
「これは、未知の動きだ。しかし、バランスの取り方、地面を蹴る感覚は、
僕が知っている”走る”というモデルの応用で対応できるかもしれない」
そう、あなたが単調だと感じていたランニングは、あらゆる応用問題に対応するための、
脳の”OS(オペレーティングシステム)”をインストールする作業だったのです。

【結論】あなたの”単調な毎日”が、未来のあなたを作る
ランニングを、単なる”体の運動”としてだけでなく、”脳の基礎工事”として捉え直してみませんか?
平日の単調なランニングは、週末に楽しむスポーツや、これから挑戦するかもしれない未知のアクティビティで、
あなたがヒーローになるための、最も重要な準備期間なのです。
その一歩一歩は、決して無駄じゃない。 あなたの脳は、その単調さの中から、世界の法則を学び、未来を予測する力を、静かに、しかし着実に、蓄えています。
僕の人生観を変え、ランニングに新しい意味を与えてくれたこの一冊。
もし、あなたの知的好奇心が少しでも疼いたなら、この深遠なる脳の世界を、一緒に旅してみませんか?

脳のOSをインストールする準備はできましたか?その”基礎工事”を、より快適で効果的に行うための知識も、ぜひ参考にしてください。







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